飼い主はツアーガイド:わが家のお散歩
前回の記事では、犬の散歩を楽しくする5つのポイントをご紹介しました。今回は、あらしん堂店長の散歩方法を紹介します。犬がストレスを発散し、室内で問題行動を起こさないことを主眼にしています。
散歩の目的
みなさんはどんなお散歩をしていますか?排泄がメインの目的だったり、ともかく前進することに注力していませんか?
愛犬たちはほとんどの時間を家の中で過ごします。あまり変化のない家の中にばかりいては得られる情報が限られてストレスがたまってしまいますよ。だから、1日2回のお散歩は犬にとって大事な時間です。
人間も散歩を楽しみますが、たいていは景色を楽しむことが一番で、時に木や風の匂い、鳥の声でリラックスしたりします。
人間の知覚依存割合が、視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1%ですが、犬の場合は、嗅覚4割、聴覚3割、視覚1割とのことですので、お散歩の仕方はおのずと違ってきます。
犬にとって匂いを嗅ぐ重要性
犬の嗅覚は人間の1億倍。犬にとっては鼻からの情報が一番多くて分かりやすく、楽しいのです。だから、嗅ぎたい匂いを嗅がせてあげてください。他の犬の匂い、お尻の匂いだけで年齢、性格、気分なども分かるそうです。草の匂い、虫の匂い、風の匂い、土の匂い、毎日変わる外の匂いは、人間が映画やインターネット、テレビを観るように楽しそうです。
犬が匂いを嗅ぐあいだ、立って待っている飼い主には根気が必要です。でも、考えてみてください。人間でもお気に入りの絵に見入っていたり、面白い本を読んだり、ネットのコンテンツを楽しんでいる途中で「はい、それやめて。」と制限されるととても残念です。
色々匂いを嗅ぎまわることを汚いから、かっこ悪いからと一切制限する飼い主もいるようですが、とても可哀想に思います。ストレス解消や欲求を満足するために思いっきり匂いをかがせてあげましょう。
それが、家のなかでの問題行動抑制にもつながると思われます。また、匂いを嗅ぐと脳に刺激があり、将来の認知症リスクを回避する効果もあると考えられています。
毎日催行、匂い嗅ぎ90%保証ツアー!
私は、犬の散歩を「匂い嗅ぎ90%保証ツアー」と命名しています。さすがに、排泄物や人が落とした食べ物などは勢い余って食べたりすると危険なのでNGにしていますが、それ以外の匂いを嗅ぐ時間は90%以上は希望通りにさせてあげるように努力しています。
匂いを嗅いでいる間、飼い主は待つのが退屈なので、AudibleやAudio Book、Youtubeなどを聴くようになりました。犬は嗅ぎ、人は聴く、お互い満足度の高いお散歩になります。
ほぼ甲斐犬のあられは時々散歩の足を停めて、目を細め空に向けて鼻をひくひくしていることがあります。心から匂いの情報を楽しんでいるんですね。ジャックラッセルテリアのしんのすけは、気に入った所を徹底的に納得いくまで嗅ぎ、最後に1滴マーキングして次に進みます。美術館で絵を30分も眺めて、最後にうなずいて次に行くマニアみたいです(笑)
あられは草や土や風が好きな自然派、しんのすけは他の犬のオシッコの匂いが大好きな社交派。立ち止まりポイントが異なり、お互い相手を待つことになります。あまりにも1ヵ所の滞留時間が長くなると、飼い主がおやつを出したり、ちょっと走るタイムを挟んでみたりして、犬の気分を変えて先に進みます。
そんな「匂い嗅ぎ90%保証ツアー」は毎日催行されています。
晴れた気持ちの良い日も、雨や雪や台風の日も!