犬服は是か非か?!
酷暑で長かった2024年の夏がやっと終わり、秋の心地よさを歓迎していたら、もう冬の寒さがやってきました。愛犬にも服を着せている人も多いのではないでしょうか。服を着せることの意味を犬の立場から考えてみましょう。
犬に服を着せる理由とその影響
犬に服を着せると、とても可愛くなりますね。多くの飼い主が服を着せる理由はここにあるのではないかと思います。わが家でも犬を迎えたころは、色々買ってきました。飼い主と犬のお揃いの服までも・・・(笑)。
しかし、犬の立場からすると、衣服は絶対に心地の良いものではありません。犬は本来、生息する地に合った天然の毛皮をもって体温を調節していますので。
犬の立場から衣を着せることの感覚
多くの犬は服を着せられることに不自然な感じを抱き、緊張や不安を示す表情を見せることがあります。服を着せたら固まった愛犬も少なくないはずです。その理由は、犬の毛皮がもつ「自然の被覆」としての機能を損なうような感覚から来るものです。
しかし、犬は、本当はイヤでも、飼い主が喜ぶならば服を着せられても我慢していることが少なくありません。飼い主が喜ぶ顔を見るのも犬の幸せの一部ですが、飼い主側はこのことを頭の片隅に必ず入れておいてください。
体温管理の重要性
犬に服を着せるときは体温をしっかりとチェックすることが不可欠です。犬の毛皮は自然に水分を排出したり、風を感じて体温を調整する機能を持っています。
そのため、服を着せることで体温が過度に上昇し、体調を崩す原因となることがあります。一度、ドッグランで服を着た犬の服の中に手を入れてみました。犬はもともと体温が高いですが、布の下に温かい空気がこもってとても熱くなっていました。
想像しやすい状況としては、毛皮やダウンを着た上にウィンドブレーカーを着てみてください。ものすごく高い保温性となります。気温10~15度の時にでもこれを着て活発に歩けば、脱ぎたくなるくらい暑くなると思います。
注意すべきポイント
- 温暖な日には過剰に衣を着せないこと
- 犬が暑さを感じたときにすぐ対応できるようにする
- 脱水症状や過熱を防ぐために水分補給も忘れずに
犬の視点に立ち、一緒に楽しむ工夫
犬に服を着せることは悪いことではありませんが、最も大切なのは犬が快適であることです。もし犬が不快感を覚えるようであれば無理に着せないであげてください。
どうしても着せるのであれば、犬が心地よく過ごせるように柔らかく通気性の良い素材を選び、季節や環境に応じて調整することが重要です。写真を撮る時だけにするとか、飼い主の満足度と犬の快適さのバランスを取りましょう。
わが家でも専ら、衣服は写真撮影用にしています。犬たちは「写真撮れば満足なんでしょ。早く終わってね」とばかり、スマホカメラが向いている時はじっとしていてくれています。
服が必要なケース
一方で服を着せることが必要なケースがあります。主に服の機能を利用するシーンとなります。
1. 寒さ対策
- ミニチュアピンシャーやイタリアングレーハウンドなど短毛種や小型犬、子犬、高齢犬は寒さに弱いことがあり、特に冬の散歩時に体温を保つために服を着せる必要があります。
- 雨や雪の日には、防水や防寒性のある服で体を守ることができます。
2. 防虫、日焼け・暑さ対策
- 春夏の季節は、蚊やノミ、ダニから犬を守るために防虫加工が施された服を着せると効果的です。
- 服に水を含ませて気化熱で温度を下げる効果のある服もあります。
- 日焼けしやすい犬種(薄毛の犬や白い毛の犬)には、紫外線を防ぐために軽い服を着せることがあります。
3. 皮膚の保護
- アレルギーや皮膚病の治療中で、かきむしりやなめるのを防ぐ必要がある場合に服を着せることで傷口や皮膚を守ります。
- 手術後の保護にも役立ちます。
4. リラックス効果
- 雷や花火の音に敏感な犬にぴったりした服を着せると、安心感を与え、不安やストレスを軽減する効果があるとされています。
5. 医療的な理由
- 避妊手術や怪我の後、エリザベスカラーの代わりに術後服を使用することがあります。
機能性に着目して犬に服を着せるときでも、以下の点に注意してください:
- サイズが合っていて、動きを妨げない服を選ぶ。
- 通気性や素材が犬に適しているか確認する。
- 犬が嫌がる場合は無理に着せず、徐々に慣れさせるようにする。
まとめ
犬に服を着せることは、飼い主の喜びと犬の快適さのバランスが重要です。犬の体温管理には十分に気を配り、犬の立場に立って楽しむことで、服の着用は素晴らしい経験に変わります。注意を払いながら、一緒に快適で楽しい時間を過ごしましょう。