犬の歯について知るべきこと:健康を守るための完全ガイド

犬の健康を維持するためには、歯と口腔ケアが非常に重要です。しかし、多くの飼い主は犬の歯について十分な知識を持っていないことがあります。
本記事では、犬の歯の構造から、よくあるトラブル、ケア方法まで、詳細に解説します。
犬の歯の構造
犬の歯の種類
犬の歯は以下の4つの種類に分かれています。
(1) 切歯(門歯)
- 位置:前歯(上下の前方に並んでいる小さな歯)
- 本数:上下6本ずつ、計12本
- 役割:食べ物をつかんだり、噛み切る役割を持つ。毛づくろい(グルーミング)にも使用される。
(2) 犬歯(牙)
- 位置:切歯の両脇にある鋭い歯
- 本数:上下2本ずつ、計4本
- 役割:獲物を捕らえたり、噛みつく際に使用。非常に鋭く、捕食や防御に重要な役割を果たす。
(3) 前臼歯(小臼歯)
- 位置:犬歯の後ろに並んでいる歯
- 本数:上6本・下8本、計14本
- 役割:食べ物を噛み砕くための歯。特に肉や骨を細かくするのに適している。
(4) 後臼歯(大臼歯)
- 位置:口の奥にある大きな歯
- 本数:上4本・下6本、計10本
- 役割:食べ物をすりつぶす。草食動物に比べて少ないが、ドライフードや硬いものを噛む際に使われる。
犬の歯の本数
犬の歯は人間と同様に乳歯と永久歯に分かれています。
- 乳歯:生後約3週間で乳歯が生え始め、28本あります。
- 永久歯:生後4〜6か月で乳歯が抜け、代わりに永久歯が生えます。成犬の永久歯は42本です。
歯の種類 | 乳歯の本数 | 成犬の本数 |
---|---|---|
切歯(門歯) | 12本 | 12本 |
犬歯 | 4本 | 4本 |
前臼歯(小臼歯) | 12本 | 16本 |
後臼歯(大臼歯) | なし | 10本 |
合計 | 28本 | 42本 |
- 乳歯(生後3~6週で生え揃い、4~7ヶ月で抜ける)
- 永久歯(生後6ヶ月頃までに生え揃う)
犬の歯の役割
犬の歯の役割は人間とは異なります。人間は咀嚼によって食物を細かくすりつぶし唾液による消化が口の中から始まりますが、犬の唾液には消化酵素がなく口の中で消化する作用がありません。
そのため犬の歯は主に肉を切り裂くことに特化しており、咀嚼やすりつぶしは得意ではありません。犬が食物を細かく噛まずに丸飲みするのは自然なことであり、噛んだ方がよいものの、そんなに大きな心配には及びません。
よくある歯のトラブル
犬の歯と口腔には、以下のようなトラブルが起こりがちです。
(1) 歯周病
歯垢や歯石の蓄積が原因で、歯茎が炎症を起こします。放置すると歯が抜けたり、心臓病や腎臓病のリスクが高まります。犬は、虫歯にはなりにくいのですが、大変高い確率で歯周病にかかります。
(2) 破折歯
硬い物を噛むことで歯が割れたり折れたりすることがあります。痛みを伴い、感染のリスクも。
中型犬の咬む力はおよそ100kgにも達するといわれており、この強力な咬む力が骨や硬い食物を砕く助けとなります。ただ、犬の歯はそこまで強くないことがあり、顎の力にまかせて硬いものを噛むと歯が割れることがよくあります。
(3) 不正咬合
歯並びが悪いことで、食べ物が噛みにくくなるほか、口内炎の原因になることもあります。
(4) 口臭
歯周病や歯石の蓄積による悪臭が原因。
犬の歯の健康を守るためのケア
犬の口の中はアルカリ性であり虫歯菌が繁殖しづらいことから、犬の虫歯はあまり多くありません。逆に、歯周病は非常に多く、歯周病予備軍を合わせると全体の8割がかかっているともいわれています。
歯周病が悪化すると、顎の骨ごと溶けてしまうなど悲惨なことになります。そのため、犬には歯みがきが必要です。
(1) 定期的な歯磨き
- 頻度:理想は毎日、少なくとも週2〜3回。
- 使用するもの:犬用歯ブラシや指サック型のブラシ、犬用歯磨きペースト(人間用はNG)。
犬は人間のように歯磨き粉を吐き出せないため、飲んでも安全な犬専用である必要があります。また、鶏肉風味など、犬の好む匂いがついているものもあり、歯みがき苦手な犬の導入にも役立ちます。
- 手順:
- 犬がリラックスしているときに始める。
- 指で軽く歯や歯茎に触れて慣れさせる。
- 少量の歯磨きペーストをつけて優しく磨く。
(2) 歯磨きガムやおもちゃの活用
噛むことで自然に歯垢を取り除く効果があります。ただし、硬すぎるものは破折歯の原因となるため注意が必要です。
(3) 定期的な獣医での歯科検診
年に1〜2回、獣医で口腔内チェックを受け、必要に応じて歯石除去を行いましょう。
(4) 食事の見直し
ドライフードはウェットフードよりも歯垢がつきにくい傾向があります。また、特定のデンタルケアフードもおすすめです。
まとめ
犬の歯の健康は全身の健康に直結しています。日頃のケアと定期的なチェックを怠らないことで、愛犬が健康で快適な生活を送ることができます。本記事で紹介した方法を実践し、愛犬の笑顔を守りましょう。
歯磨きガムなどの利用もよいのですが、歯周ポケットをクリーニングする手段としては歯ブラシを使った歯磨きがベストではあります。次回の記事は「歯磨き」に焦点をあてて解説します。
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