犬の問題行動と痛みの関係|知られざる原因と対策

犬の問題行動といえば、防衛本能や恐怖感、トラウマといった精神的な要因が主に考えられます。しかし、身体の痛みが問題行動の原因になっている可能性もあります。実際に、スペインのバルセロナ大学の研究でも、犬の問題行動と身体の痛みの関連が証明されています。
犬は痛みを隠す動物
犬は非常に痛みに強い動物です。いや、「強い」というよりも、「痛い」と言わない動物なのです。野生の犬にとって、負傷していることが敵に知られると生存競争で不利になります。そのため、多少の痛みでは外見上に明確な症状が現れにくいのです。
犬が最も痛めやすい部位は「背中」
特に、犬は背中を傷めやすい動物です。ダックスフンドの椎間板ヘルニアが有名ですが、胴長の犬に限らず、多くの犬が背中の痛みを抱えています。そして、その痛みが問題行動につながるケースもあるのです。
スウェーデンの研究結果
犬の行動研究が進んでいるスウェーデンでは、このような調査結果が出ています。
- 6割の犬が背中から腰に問題を抱えている
- 背中に問題のある犬の半数が問題行動を示している
- 攻撃行動が見られる犬の8割が背中を傷めていた
犬の多くが腰~背中を傷めており、そしてそれが問題行動の原因になりそうです。
(400頭以上を対象にしたスウェーデンの行動心理士アンデシュ・ハングレン氏の研究より)
犬が背中を傷める主な原因
- 成長痛
成長期に関節や筋肉に痛みを感じた犬は、成犬になっても違和感を持ち続けることが多い。 - 股関節や脚の故障
片方の股関節や脚を痛めると、もう片方に負担がかかり、バランスを保つために背中が歪む。その結果、背中の筋肉がこわばり、脊椎に負担がかかる。 - 外傷(事故や虐待など)
他の犬とのケンカや襲撃、自転車との接触、ドライブ中の急停止、さらには虐待などが原因で背中を負傷するケースも。
背中の痛みが引き起こす問題行動
犬が背中に痛みを抱えていると、次のような問題行動が発生しやすくなります。
- 攻撃性の増加:痛みがストレスとなり、他の犬や人間に対して攻撃的になる。
- 触られるのを嫌がる:特定の部位に触れられると痛みを感じるため、警戒心が強くなる。
- 動きたがらない:遊ぶのを嫌がる、散歩を嫌がるなどの行動。
- 興奮しやすくなる:痛みのストレスが積み重なり、ちょっとした刺激に対して過敏になる。
飼い主ができる対策
痛みのサインを見逃さない
犬は痛みを隠す習性がありますが、以下のようなサインが見られたら注意しましょう。
- 触られるのを極端に嫌がる
- ジャンプや階段の上り下りを避ける
- 歩き方がぎこちない、よく転ぶ
- 急に攻撃的になる
定期的な健康チェックを行う
動物病院での定期的な検査を受けることで、早期発見が可能になります。特に、股関節や背中に負担がかかりやすい犬種(ダックスフンド、コーギー、シェパードなど)は、注意が必要です。
マッサージやストレッチを取り入れる
犬用のマッサージやストレッチを取り入れることで、筋肉の緊張をほぐし、痛みを軽減できます。
適切な運動と環境づくり
無理な運動を避け、適度な運動を取り入れることが重要です。また、滑りやすい床を避ける、段差の少ない環境を整えるなどの配慮も大切です。
まとめ
犬の問題行動の原因は、精神的なものだけではなく「痛み」が関係していることもあります。特に、背中の痛みが行動に大きな影響を与えることが、スウェーデンやスペインの研究で証明されています。
「うちの犬、最近ちょっと様子がおかしい」と感じたら、まずは身体の痛みに原因がないかチェックしてみましょう。適切なケアをすることで、犬の負担を減らし、より快適な生活を送らせてあげることができます。
あらしん堂は
愛を失った子たちの命を救うため、売上から保護活動を支援します。
命をつなぐお買い物―是非ご参加ください。