犬猫の殺処分ゼロへ|日本が学ぶべき実践策とドイツの成功例

犬を知るにつれ、犬がいかに賢く、人間を信頼し、そして裏切らない動物かが分かってきました。それだけに、犬が人間に飼われる以外に生きる道がなく、また、飼う人がいないというだけで殺処分になることに胸を痛めずにはいられません。
人間社会を何も知らない野犬の子、一度は家族に愛されながら捨てられてしまった子、飼い主の認識不足で問題犬扱いの末に「仕方ない」として捨てられた子、病気で売れずに不要とされた子、売るための子犬を生まされるだけ生まされて不要になった子。
殺処分場に送られる犬は、どれ一つとっても、殺されるような罪はないのです。
殺処分をゼロにするためには
殺処分をゼロにするための方策には、さまざまな角度から議論が交わされています。以下、どんな視点で、どういった議論が出ているかご紹介します。
●原因から断つ視点
―ペットショップ、ブリーダー廃止論
生体を販売する業者が諸悪の根源であり、売れ残りや不要となる繁殖犬が発生し、ひいては安易に犬を買って捨てる人も出てくる。ペットショップやブリーダーを職業として認めない、廃止すべきとの意見です。
この意見のなかにも、純血種を保存する必要性、また、良心的な業者もいることからブリーダーは残すべきと考える人もいます。
この問題は、その業を生業としている人が現実にいることから廃止は容易でないと考えられます。また、犬猫を家族にしたくても、縁をつなぐのが容易でない人もおり、現状はペットショップやブリーダーを必要とする人もいます。
●殺処分を執行する地方自治体の動きを改善する視点
―地方自治体の殺処分を禁止する案
保健所に持ち込まれた動物、保健所が保護した動物を殺処分せずに譲渡する仕組みを作るといったアイデアがあります。
これの実現には、地方自治体の予算やリソースの課題が大きいと思われます。また一方で、事務的に安易に殺処分しているとしか思えない地方自治体もあり、訴訟にもなっています。
●譲渡を促進する視点
―保護施設への支援
保護施設はボランティアであり、寄付により活動が成り立っています。そのため、一匹でも多くの犬を殺処分から救い、保護するためには経済的に施設を支えることが必要です。
―厳しすぎる譲渡条件の緩和
保護施設では、せっかく里親と縁のあった動物がもう一度捨てられたり、里親を装って虐待目的で譲渡されることがないように、厳しい審査を行うことが通常です。
しかしながら、以下のような一律の条件には批判が出ています。
- 60歳以上には譲渡しない
- 単身者(特に男性)には譲渡しない
定年退職年齢や年金受給が70歳にもなろうという時代の変化のもと、60歳代はまだ若く80歳までご存命の方も珍しくありません。 60歳以上の人に譲渡する場合でも、動物も10歳以上のシニアであれば動物の余命を考えるとリスクはそんなに大きくないでしょう。
保護犬猫も数日後に殺処分されることに比べれば、はるかに幸せな余生を送れるものと思われます。飼い主の体調変化などを連絡する手段を整備し、運動量が多くない犬種を選ぶことなども、飼い主・犬猫ともに無理なく暮らす手段でしょう。
また、虐待事件の加害者の多くが男性だとしても、ほとんどの男性が虐待をするわけではないので、家庭訪問や近隣の方へのヒアリング、譲渡後の訪問などでリスクを減らすことは可能でしょう。
しかしながら、いずれにしても、課題は保護施設にかかる大きな負担です。
あらしん堂の持論
―地方自治体の取り組み
地方自治体が保護した犬猫を譲渡するリソース(人員、ノウハウ、時間等)が取れないのであれば、民間団体と連携することが考えられます。実際にこれをやっている地方自治体はあります。
できれば、地方自治体から(要するに税金で)連携する保護施設に補助金が出ると良いと考えます。
―保護団体への支援
現状、殺処分候補の犬猫を救うために私たちがすぐにできることは、経済的に保護団体を支援することです。ただ、善意の寄付だけで賄っていくと不安定なので、サスティナブルな仕組みが必要と考え、あらしん堂では消費財を販売した売上を使って支援していくことにしています。
―保護犬の販売
批判もあり得ることを承知のうえですが、保護犬を販売することも考え得ると思います。保護犬のなかでも飼いやすい子はたくさんいますし、保護施設で実際にしつけもしています。
- トイレのしつけができている
- 性格が温和であることが分かっている
- 人間に慣れている
ペットショップで子犬を買えばしつけが必要で、必ずしも上手くいくわけでもなくリスクがありますが、そういった心配が不要な子たちです。その価値に対してそれなりのお金をもらってもいいのではないかと私は考えます。
そのお金は、保護・養育してくれた施設への御礼、今後の活動支援のための資金ですから、単なる生体売買とは一線を画した意味を持つことになります。
―原因から断つところ
ペットショップ、ブリーダーを高度な規制業種、できれば免許制にするべきだと考えます。要求する体制として、生体の仕入れから売れ残った場合の譲渡の道筋までを義務付けたいものです。
また、犬猫を飼う人にも研修を義務付けたり、試験・資格取得を義務付けるのがよいと思われます。あらしん堂が日ごろから書いているブログのような、犬の本能、生態やしつけ方の基本などを知ってもらうことが趣旨です。
規制業種化や資格制度を実施するには、法令を変更しなければなりません。 つまり、立法府(国会議員)に理解してもらい、動いてもらう必要があります。
世論の高まりが重要
現在でも犬猫保護に力を入れている議員さんもいらっしゃいます。こういった議員さんたちが力を持てば、保護犬・猫の福祉が急速に進むことが期待できます。国民は選挙ごとに候補者の主張に興味を持って政治参加していかなければなりません。
あらしん堂では、保護活動を支援しながら、将来的には政治家さんに働きかけもできたらいいなと考えています。皆様、どうぞ、ご支援をお願いいたします。
殺処分ゼロに限りなく近い国
ドイツの事例
ドイツでは、民間の動物保護施設「ティアハイム」が飼育困難となった動物を引き取ります。飼い主や里親が見つかるまで保護し続けるため、原則として殺処分は行われません。
ティアハイムは、寄付、遺言、補助金、譲渡手数料、会員の会費などを財源として運営されています。
ドイツは犬猫の生態販売の規制が厳しく、いわゆるペットショップはほとんどありません。ペットを飼い始めようと思い立ったときには、まずはティアハイムへ行ってペットを探す慣習があります。
ペットショップへ買いに行ったとしても、店員から「まずはティアハイムで探してみたらいかがですか?」と勧められることもあるようです。
末期がんや不治の伝染病など動物が苦痛を伴う場合には、ドイツでも安楽死が選択されます。そういったケースを除けば、限りなく殺処分ゼロに近い国といえるでしょう。詳しくはこちらの記事をご覧ください。 https://www.sn-hoki.co.jp/articles/article090780/
まとめ
犬や猫の殺処分をなくすためには、感情論だけではなく、制度・社会・私たちの意識を変えていく現実的なアプローチが必要です。ペットショップやブリーダーの在り方、自治体と保護団体の連携、譲渡の条件、そして何より「命」とどう向き合うか――。
そのすべてが、この問題のカギとなります。
でも、忘れてはいけないのは、この課題の向こう側に「心ある命」があるということ。人間に捨てられても、人を信じて待ち続ける子たちがいます。ただ「飼い主がいない」という理由だけで、この世から消されていく命があります。
そんな理不尽を、変えたい。ドイツのように、命を守る仕組みをつくることは、決して夢ではありません。小さな優しさを行動に変えることで、未来は変えられるのです。
あらしん堂は、皆さんとともに、命をつなぐ選択を続けていきます。
その一歩一歩が、きっと誰かの「生きててよかった」につながると信じて。
あなたの“お買い物”が、誰かの“いのち”を救う。

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