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犬の咬み癖は治せる!原因別の対策&主従関係の見直しで触れる幸せをもう一度

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犬の咬みグセで悩んでいませんか?お腹や頭をなでてモフモフたわむれることを楽しみに犬を迎えたのに、咬むから怖くて触れない・・・すごく残念ですよね。

ご飯をあげているお母さんだけは咬まないのに、パパやお子さんには容赦なく咬みついてしまう・・・そんな「咬む相手を選ぶ」ケースに頭を悩ませている方も少なくありません。

わが家でも、子犬の頃に迎えた甲斐犬もどきの「あられ」の咬みグセには注意しました。甲斐犬は警戒心が強く、咬みつきやすい犬種。ここで咬み癖をつけてしまったら大変なことになると思い、本を読み漁りながら四苦八苦して向き合った日々がありました。

実はこの経験こそが、私がしつけについて本格的に勉強を始めるきっかけになりました。ちなみに、保護施設からお迎えした「しんのすけ」の咬みグセは、先住犬となったあられとの間で上下関係がきっちりつくことで自然と治っていったので、犬同士の関係性から学ぶことの大きさも実感しています。

子犬は歯が生え変わる時期に咬みつくことが多いものですが、成犬になっても咬み癖が残っていたり、さらにエスカレートすると大変です。放置すると、家族との信頼関係が崩れるだけでなく、来客や散歩中の他人・他犬とのトラブル、最悪の場合は咬傷事故による法的責任にも発展しかねません。

そこで、本記事では、飼い犬の咬み癖を治すための効果的な対策について、原因の見極め方から具体的なトレーニング方法、年齢や状況別の対応、そして深刻なケースへの向き合い方まで、じっくりと解説していきます。

第1章|なぜ犬は咬むのか?その理由を知ろう

犬が咬む理由を理解することが改善の第一歩です。

「咬む」という行動をひとくくりにしてしまうと対策を間違えてしまうことがあるので、まずはうちの子がどのタイプの「咬み」に当てはまるのかを冷静に観察してみましょう。

一般的な理由としては次のようなものが挙げられます。

  • 遊び:特に子犬は咬むことを遊びとして楽しみます。兄弟犬とじゃれあう延長で、人の手や足を「おもちゃ」だと思って咬んでしまうのです。
  • 不安や恐怖:ストレスを感じる場面で防衛反応として咬むことがあります。知らない人が急に近づいてきた、大きな音がした、体を押さえつけられたなど、犬にとって「怖い」と感じる状況で自分を守るための最終手段として歯を使います。
  • 歯の生え変わり:子犬は歯がかゆくて物を咬みたがることが多いです。生後4〜6ヶ月頃まで続く時期で、硬いものに歯を当てることで不快感を紛らわせようとしています。
  • 領域の防衛:自分の食べ物やおもちゃ、寝床を守るために咬むことがあります。いわゆる「フードアグレッション(食べ物への攻撃性)」もこのタイプです。
  • 学習による咬み癖:過去に咬んだことで「要求が通った」「相手が離れてくれた」という成功体験を積んでしまうと、咬むことが有効な手段だと学習し、癖として定着してしまいます。
  • 痛みや体調不良:関節の痛みや皮膚のトラブル、耳や歯の炎症など、体のどこかに痛みがあると、触られることを拒否して咬みつくことがあります。急に咬み癖が出てきた・悪化した場合は、しつけの問題ではなく体調不良のサインである可能性も疑ってください。

また、犬種による傾向もあります。牧羊犬系や番犬として作られた犬種は警戒心や縄張り意識が強く出やすい一方、狩猟犬系は獲物を追う本能から動くものに反応して咬みつくことがあります。

うちの甲斐犬もどきやジャックラッセルテリアのように、もともと独立心が強く作業能力の高い犬種は、しつけに一貫性がないとすぐに「自分の方が上」だと判断してしまう傾向があるので、飼い主側の根気が特に問われます。

第2章|咬み癖を直すための効果的なステップ

原因を見極めたら、次は具体的な対策です。どのタイプの咬みグセにも共通して効果的な、基本の4ステップをご紹介します。

1.ポジティブな強化を使う

咬むのをやめさせるためには、ポジティブな強化が効果的です。たとえば、犬が咬まずにおとなしくできた時に、褒めたりご褒美を与えましょう。犬は「咬まないことが良いことだ」と学びます。

ポイントは「咬まなかった瞬間」を見逃さずに褒めることです。

多くの飼い主さんは「咬んだ時」にばかり反応してしまいがちですが、犬にとっては「咬まなかった」という行動は目立たないぶん、意識的に評価してあげないと学習が進みません。

手を近づけても咬まずにいられたら、すかさず優しい声で褒め、小さなご褒美を与える。これを毎日、根気よく繰り返すことで、犬の中に「咬まない=良いことが起こる」という回路が育っていきます。

また、叱るタイミングにもコツがあります。咬んでから時間が経ってから叱っても、犬は何について叱られているのか理解できません。叱るなら「咬んだ瞬間」、褒めるなら「咬まなかった瞬間」、どちらも即座に反応することが鉄則です。

2. 代替を提供する

犬が咬みたがるときには、咬んでもよいおもちゃ、噛み応えのあるものを与えます。咬んでも良いものを提供することで、犬は咬む衝動を解消できます。ゴム製の噛み応えがあるおもちゃ、食べられるおやつタイプのものがおすすめです。あらしん堂で扱っている馬のアキレス腱は、美味しく、しっかり噛めてお勧めです。

特に子犬の歯の生え変わり時期や、留守番前でエネルギーが有り余っている犬には、この「代替の提供」が非常に効果的です。

咬みたい衝動そのものを止めさせようとするのではなく、「咬んでよいもの」へ意識をそらしてあげる発想が大切。手を咬もうとした瞬間に、さっとおもちゃを差し出して「これなら咬んでいいよ」と切り替える練習を繰り返すと、次第に犬自身が「咬みたくなったらこれ」というルールを覚えていきます。

噛み応えのあるおやつを選ぶ際は、硬すぎて歯が折れてしまうものや、誤飲の危険がある小さすぎるものは避けましょう。時間をかけてじっくり楽しめる無添加のガムやアキレス腱タイプは、ストレス発散はもちろん、デンタルケアにもなるので一石二鳥です。

3.無視する

犬が咬みついたときに大きな反応をすると、犬はそれを「遊び」と誤解してしまいます。咬まれたら大きなリアクションをせず、無視することが効果的です。犬は次第に「咬むことは面白くない」と学びます。

「痛い!」と大きな声を出したり、手を振り払ったりする行動は、犬にとっては「遊んでくれている」「かまってもらえた」というポジティブな刺激になってしまうことがあります。咬まれた瞬間は、できるだけ表情を変えず、声を出さず、すっと立ち上がってその場を離れる。そして数分間は完全に無視をします。犬にとって「咬むと楽しい時間が終わってしまう」という経験を繰り返すことで、咬む行動の魅力が薄れていきます。

ただし、これは痛みを伴わない甘咬みや遊びの咬みに有効な方法です。本気咬みや恐怖からくる咬みつきの場合は、無視するだけでなく後述する主従関係の見直しが必要になります。

4.トレーニングコマンドを教える

基本的なトレーニングコマンドを教えることで、犬が咬むタイミングを制御できるようになります。たとえば、「待て」や「離せ」といったコマンドを教えると、咬みつくのをやめさせることができます。短いセッションを毎日行い、少しずつ成功体験を積ませることが大切です。

コマンドトレーニングは、単に「咬むのをやめさせる」だけでなく、飼い主と犬の間にコミュニケーションのルートを作る作業でもあります。「待て」「離せ」「おすわり」「ふせ」といった基本コマンドがきちんと通じる犬は、興奮した状態からでも飼い主の声かけひとつで落ち着きを取り戻せるようになります。

トレーニングは1回5〜10分程度の短いセッションを、1日に数回に分けて行うのがコツです。長時間だらだらと続けると犬も飼い主も集中力が切れてしまいます。「できたら褒める」を徹底し、できなかった時に叱りすぎないこと。焦らず、少しずつ積み重ねる意識で取り組みましょう。

第3章|年齢・状況別に見る咬みグセ対応のポイント

咬みグセは、犬の年齢やシチュエーションによっても対応の仕方が変わってきます。ここでは代表的なケースをいくつかご紹介します。

子犬期(乳歯〜永久歯の生え変わり)

生後2〜6ヶ月頃は、歯の生え変わりに伴うムズムズ感から何でも咬みたがる時期です。この時期に「咬んではいけない」と厳しく叱りすぎると、犬が萎縮して不安を抱えやすくなることもあります。前述の「代替を提供する」方法を中心に、根気強く「咬んでいいもの」を教えてあげましょう。

成犬になっても続く咬みグセ

成犬になっても咬みグセが治らない場合は、単なる歯の生え変わりではなく、学習によって定着してしまった行動である可能性が高くなります。この場合は、無視やコマンドトレーニングに加えて、後述する主従関係の見直しがカギになります。一朝一夕には直りませんが、「成犬でも遅いということはない」ので、あきらめずに取り組んでください。

来客時に咬みつく

インターホンが鳴った瞬間や、知らない人が家に入ってきた時に咬みつく場合は、縄張り意識や不安が原因になっていることが多いです。

来客の前にケージやサークルで落ち着ける場所を確保し、興奮が収まってから対面させる、来客にはおやつを渡してもらい「知らない人=怖くない・良いことがある」と学習させるなどの工夫が効果的です。

留守番中・留守番後の咬みつき

留守番後に飼い主に対して咬みつく場合、分離不安やエネルギーの発散不足が背景にあることがあります。散歩の時間を増やす、留守番前に十分に遊んでエネルギーを発散させる、留守中に楽しめる知育トイやおやつを用意するなど、咬みグセそのものより「不安やストレスの原因」に目を向けることが解決の近道です。

食事中、おもちゃで遊んでいる時に咬みつく

いわゆるフードアグレッションは、「取られるかもしれない」という不安から起こります。無理に取り上げようとするとさらに悪化するので、まずは食事中に近づいても良いことが起きる(さらに美味しいものを追加してもらえるなど)という経験を積ませ、「人が近づく=怖くない」という認識に変えていくことが大切です。

第4章|飼い主との主従関係ができていないケース

4つのステップを試しても犬の咬み癖が直らない場合、飼い主と犬との間に主従関係が構築されていない可能性があります。

犬は社会性の高い動物であり、群れ(家族)の中での順位が非常に重要です。飼い主が犬からリーダーとして認識されていない場合、犬は自分が主導権を握ろうとし、その結果として咬みつく行動が出ることがあります。

以下のポイントが飼い主と犬の主従関係の崩れを示唆します。

  • 犬が指示に従わない
    特に基本的なコマンド(「待て」「おすわり」など)に従わない場合、犬が飼い主をリーダーとして見ていない可能性が高いです。
  • 攻撃的な行動
    飼い主が近づいたり、手を出したときに、犬が自分のテリトリーを守るために攻撃的になる場合は、飼い主と犬の関係が不適切であることを示します。飼い主が咬まれることを恐れて手を引くなどすると、自分の方が強いことを確信してしまいます。
  • 不安や恐怖
    自分を守ってくれるリーダーとして飼い主を信頼していないと、不安な時や怖い時に自分で解決しようとして咬むことになります。
  • 要求吠え・要求咬みが多い
    「咬めばかまってもらえる」「咬めばご飯がもらえる」といった経験を通じて、犬が飼い主をコントロールしようとしている状態も、主従関係の崩れのサインです。
  • 散歩中に飼い主より前を歩きたがる
    リードを引っ張って先頭を歩きたがる犬は、群れの中で自分がリーダーだと認識している可能性があります。

第5章|リーダーとしての深刻な咬みグセへの対応

まず、咬む犬に対応する時は手袋をしましょう。革でも軍手三枚重ねでもかまいませんので、咬まれても痛くないようにして、撫でる、おやつをあげるなどしましょう。

咬まれるたびに飼い主がひるむと犬が自分の強さを自覚してしまうからです。「あれ?咬んでも怖がらないな、強いな。」と思わせなければなりません。

ここで、即効性の期待できる方法を一つご紹介します。
弱い者が強い者に道を譲るという犬の習性を利用します。

①犬を地面に置きます。
②飼い主は犬に向かってどんどん進んでいきます。
③吠えても構わず前進、犬が後ろに下がるまで前進しましょう。
※脚を咬まれてひるむと逆効果なので、長靴などを履いてやってみてください。

この方法を行う際は、逃げ場のない狭い空間で行ったりしないほうがいいでしょう。あくまで「飼い主は動じない、怖がらない存在だ」ということを伝えるための第一歩であり、体罰や威圧とは違います。犬が怯えきってしまうようであれば、無理をせず一旦中断し、日を改めて短時間から取り組みましょう。

主従関係を修正するためには、日ごろからの意識が重要です。詳しい方法は、こちらの記事(愛犬の無駄吠えを解決!)にも述べていますのでご参照ください。咬む犬は飼い主でも怖いものですが、リーダーとして気持ちのうえで犬に負けないことが重要です。

なお、家族の中で咬まれる人と咬まれない人がいる場合は、犬の中で家族全員の序列がバラバラになっているサインです。特に子どもやお年寄りなど、力の弱い家族が狙われやすい傾向があるので、家族全員で同じルール・同じ対応を徹底することが欠かせません。

誰か一人だけが甘やかしてしまうと、そこがほころびとなって咬みグセが解消しにくくなります。

第6章|咬み癖を予防するために子犬期からできること

咬み癖は「治す」よりも「予防する」ほうが、犬にとっても飼い主にとってもずっと負担が少なくすみます。特に子犬を迎えたばかりの飼い主さんには、次のような予防策を早いうちから意識していただきたいと思います。

社会化期を大切にする

生後3週齢〜16週齢頃は「社会化期」と呼ばれ、この時期にさまざまな人・犬・音・環境に慣れさせておくことが、将来の咬み癖や吠え癖の予防に直結します。抱っこして色々な人に会わせる、他の犬と適切な距離で触れ合わせる、掃除機やインターホンの音に慣れさせるなど、「怖い」ではなく「これは普通のことだ」と学ばせてあげましょう。

咬まれても痛くない遊び方を家族で統一する

子犬のうちは甘咬み程度でも、家族の誰かが「痛い!でも可愛いから」とじゃれ合いを続けてしまうと、咬むことが遊びとして定着してしまいます。家族全員で「咬んだら遊びは終わり」というルールを統一し、根気強く実践することが何より重要です。

触られることに慣れさせる(ハンドリングトレーニング)

耳、口、足先、しっぽなど、犬が触られるのを嫌がりやすい部位に、子犬のうちから優しく触れ、おやつと結びつけて「触られる=良いことがある」と学習させておきましょう。これにより、将来ブラッシングや爪切り、動物病院での診察の際にも咬みつきにくい犬に育ちます。

第7章|咬まれてしまった時の対処と、周囲への配慮

対策を講じていても、トレーニングの過程で咬まれてしまうことはあります。もし咬まれてしまった場合は、まず傷口を流水でしっかり洗い流し、出血がある場合は清潔なガーゼで圧迫止血をしたうえで、必要に応じて医療機関を受診してください。

特に深い傷や、相手が自分の犬以外(他人や他の犬)の場合は、法的な責任問題に発展することもあります。咬傷事故が起きた際の応急処置や飼い主としての責任については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

また、咬み癖のある犬と暮らしている間は、来客や散歩中に「うちの子は咬むことがあります」と一声かける配慮も大切です。事故を未然に防ぐことは、犬自身を守ることにもつながります。

迷子になって保健所に収容された場合、スタッフを咬んでしまった犬は殺処分が早まることがあります。引き出しの申込をしても間に合わなかったという痛ましいケースもありました。

飼い主が正しい知識と対応方法を身につけることは、愛犬の命を守ることでもあるのです。

第8章|咬み癖セルフチェックリスト

最後に、うちの子の咬み癖のタイプを整理するための簡単なチェックリストをご用意しました。当てはまる項目を確認して、対策の優先順位を考える参考にしてください。

□ 咬むのは特定の家族(特に子どもや力の弱い人)だけである
□ 咬んだ後、大げさに反応すると喜んでいるように見える
□ 食事中やおもちゃで遊んでいる時に近づくと咬もうとする
□ 来客時やインターホンの音に反応して咬みつきやすい
□ 「待て」「おすわり」などの基本コマンドに従わないことが多い
□ 散歩中、リードを引っ張って先頭を歩きたがる
□ 最近になって急に咬み癖が出てきた、または悪化した
□ 触られるのを極端に嫌がる部位がある

上のチェックリストで複数当てはまる項目がある場合、単発の咬み癖対策だけでなく、生活全体を通じた主従関係の見直しや、体調面のチェックが必要なサインかもしれません。

第9章|よくある質問(Q&A)

Q. 咬み癖はしつけ教室に通わないと直りませんか?
A. 本記事で紹介したステップをご家庭で根気よく続けることで改善が期待できます。ただし、本気咬みで出血を伴う、家族以外にも咬みついてしまうなど、もはやコントロール下になく安全面でリスクが高いケースは、早めに専門のドッグトレーナーや獣医行動診療科に相談することをおすすめします。

Q. 叱ると余計に咬みつきがひどくなります。どうすればいいですか?
A. 恐怖や不安が原因で咬んでいる犬を強く叱ると、恐怖心が増して咬みつきが悪化することがあります。まずは咬む原因が「遊び」なのか「恐怖」なのかを見極め、恐怖が原因の場合は叱るのではなく、安心できる環境づくりから始めましょう。

保護犬のお迎え直後などは、接近を急がず、少しずつ距離を縮めていくことから始めます。

Q. 咬み癖の改善にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 犬の性格や咬み癖の原因、これまでの咬み癖の期間によって大きく異なりますが、早ければ数週間、根深いケースでは数ヶ月単位でじっくり取り組む必要があります。焦らず一貫した対応を続けることが何より大切です。

Q. シニア犬になってから急に咬むようになりました。何が原因ですか?
A. 高齢になってからの急な咬みグセは、関節の痛みや視力・聴力の低下による不安、認知機能の変化などが背景にあることが多いです。しつけの問題と決めつけず、まずは動物病院で健康チェックを受けることをおすすめします。

Q. おやつやおもちゃを使ったトレーニングは犬を甘やかすことになりませんか? A. ポジティブな強化(ご褒美を使ったトレーニング)は、決して犬を甘やかす方法ではありません。「良い行動には良いことが起きる」というルールを明確に教える、非常に効果的でストレスの少ないしつけ方法として、現在のドッグトレーニングの主流になっています。

Q. 多頭飼いの場合、他の犬にも咬み癖がうつってしまいますか?
A. 咬み癖そのものが直接「うつる」わけではありませんが、先住犬の行動を見て学習することは十分にあり得ます。例えば、先住犬が要求咬みで飼い主の気を引く様子を見て、後から来た犬も同じ行動を真似てしまうケースです。多頭飼いの場合は、それぞれの犬に対して個別にトレーニングの時間を作り、家庭内のルールを犬たちに一貫して示すことが、咬み癖の広がりを防ぐポイントになります。

第10章|ケースで見る咬み癖改善の道のり

最後に、実際によくある相談をもとにした2つのケースをご紹介します。同じような状況の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ケース1:子犬の甘咬みが抜けきらないトイプードル(生後8ヶ月)

生後8ヶ月になっても、遊んでいる最中に興奮すると手や袖口を咬んでしまうという相談。家族のなかでも「痛い!」と大げさに騒いでかまってしまう方と、無反応で通す方が混在しており、犬にとっては咬んだ結果が毎回違う、一貫性のない状態になっていました。

そこで、家族全員で「咬んだら即座に遊びをやめて席を立つ」というルールに統一し、代わりに咬んでよい噛み応えのあるおやつを常に近くに用意する対策に切り替えたところ、2ヶ月ほどで甘咬みの頻度が大きく減少しました。ポイントは、家族全員が同じ対応を徹底できたことです。

ケース2:来客時に本気咬みをする保護犬(推定5歳・雑種)

保護施設からお迎えした成犬で、普段は穏やかなものの、来客があると豹変して本気で咬みつこうとするという相談。過去の経験から「知らない人=怖い存在」という強い刷り込みがあったと考えられるケースです。

まずは来客の予定がない日でも、インターホンの音や玄関のチャイムに慣れさせるトレーニングから開始。来客時はケージで落ち着ける時間を作り、興奮が収まってから、来客の方におやつを渡してもらうことで「知らない人が来る=良いことがある」という新しい経験を少しずつ積み重ねていきました。半年ほどかけてゆっくりと改善が見られ、現在では来客時にケージの中で静かに待てるようになっています。焦らず、犬のペースに合わせて時間をかけたことが功を奏した例です。

このように、咬み癖の改善には「原因の見極め」「家族全体での一貫した対応」「焦らず時間をかける姿勢」の3つが共通して欠かせません。うちの子はどのタイプに近いか、ぜひ今回ご紹介した内容と照らし合わせながら、無理のないペースで取り組んでみてくださいね。

まとめ

犬の咬み癖を直すことは、時間と忍耐が必要ですが、適切な対策を取ることで改善できます。今回紹介したポジティブな強化や代替の提供、トレーニングを実践して、愛犬との生活をより快適にしましょう。

犬が咬む理由を正しく見極め、年齢や状況に合わせた対応を選び、それでも改善しない場合は主従関係そのものを見直す。この段階的なアプローチを、家族全員で一貫して続けていくことが、咬み癖改善への一番の近道です。

成犬でも遅いくはないですが、どうしても改善できない場合は、専門家の助けを受けることも検討してください。ただし、専門家に預けて治るものではなく、あくまでも対応方法を飼い主が学んで飼い主が自分で対応することになります。

咬まれることを恐れて距離を置くのではなく、正しい知識を身につけて、もう一度愛犬と触れ合う幸せを取り戻してくださいね。

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この記事の著者

三好 美佐子

野犬だった「あられ」、保護施設にいた「しんのすけ」との生活7年め。甲斐犬、ジャックラッセルテリアの養育難度の高さに必死にしつけや犬の栄養を学ぶうちに、動物の真の健康と幸せを深く探求するように・・・。金融機関での勤務歴35年、「社会貢献と幸せな消費が結びつく意義」に賛同する同僚たちに支援される形であらしん堂をはじめました!

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