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犬の健康を脅かす「樽の理論」とは

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前回の記事では犬に大切な栄養素群を紹介しました。タンパク質をはじめ脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、どの栄養も重要です。しかし、ただただ、それらを摂ればよいわけではありません。

栄養に大切なことはバランス

犬に最適な栄養を与えることは、思ったよりも難しいものです。なぜなら、それぞれの栄養素がバランスよく取れていることが重要だからです。

特に手作りフードを与える場合に、肉とごはんと野菜が入っていればいい‥くらいに考えていると、困ったことになります。この点について、よく使われる考え方が「樽の理論」です。

樽の理論とは?

板を何枚も使って作られた木の樽をイメージしてください。板の一枚一枚はそれぞれ異なる栄養素だとします。すべての板が同じ高さで深い樽ができていれば、樽にたくさんの水がはいります。

しかし、もし、ある一枚(たった一枚)の板が短い場合、樽に入る水の量はその短い板の高さまでしか満たされません。

これと同じように、ほかの栄養素が十分な量を摂取されていたとしても、一つの栄養素が足りないと、その一つが不足するだけでなくすべての栄養素が足りなくなってしまいます

これは、栄養素はそれ単体ではあまり身体に吸収されず、他の栄養素と協動して吸収されているからです。その足りない栄養素が働ける分まで全体が制約され、たくさん取った栄養分は身にならずに流れてしまいます。

結果、一つの栄養素の不足で、すべての栄養素が足りないことになります。

犬の食事における樽の理論の適用

犬の食事においても、同じ考え方が適用されます。たとえば、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど、犬が必要とするすべての栄養素が適切な量でバランスされていなければなりません。

たとえば、骨を強くするならカルシウム!と考えると思いますが、カルシウムだけでなくリンとのバランスが崩れると、骨の健康に問題が生じる可能性があります。

また、脂肪酸も身体に良いといわれるオメガ3を多く摂ればよいわけではなく、オメガ6とのバランスが不適切だと、免疫低下、皮膚の状態や被毛の質が悪化することがあります。

これらは、樽の中で「短い板」となり得る要素です。

バランスを保つための工夫

犬にバランスの良い食事を与えるためには、以下のような点に注意が必要です:

  1. 多様な食材を取り入れる:同じ食材ばかりを与え続けると、特定の栄養素が不足しがちになります。多様な食材を使うことで、栄養の偏りを防ぐことができます。
  2. サプリメントの活用:特定の栄養素が不足していると感じた場合、サプリメントを使うのも一つの手段です。ただし、過剰摂取も弊害があるので、利用する時には獣医師のアドバイスやサプリメントの注意書きに従いましょう。
  3. 定期的な健康チェック:犬の健康状態を定期的にチェックすることで、栄養バランスの乱れを早期に発見することができます。特に、成長段階や老犬になると必要な栄養素が変わるため、その時々で食事内容を見直すことが大切です。

まとめ

樽の理論は、犬の栄養管理の難しさをよく表現しています。バランスの良い栄養を与えるためには、特定の栄養素だけに焦点を当てるのではなく、全体的なバランスを考慮することが求められます。

犬の健康を支えるためには、「樽の板」を全て適切な長さに保つことが、飼い主としての重要な役割です。

ただし、栄養バランスに紐づけて食材を選ぶには、食材に対する深い知識が必要になります。栄養学を学び、食材を学び、組み合わせを評価し、調理方法にも注意しなけれならず、なかなか一朝一夕には難しいと思われます。

一般の飼い主の皆様は無理をせず普段のごはんには「総合栄養食」を利用した方が無難かもしれません。

この記事の著者

三好 美佐子

野犬だった「あられ」、保護施設にいた「しんのすけ」との生活7年め。甲斐犬、ジャックラッセルテリアの養育難度の高さに必死に躾や犬の栄養を学ぶうちに、動物の真の健康と幸せを深く探求するようになる。金融機関での勤務歴35年、「社会貢献と幸せな消費が結びつく意義」に賛同する同僚たちに支援される形で起業した。

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