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総合栄養食の良し悪し、具体的な比較

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前回、総合栄養食の選び方を解説しました。総合栄養食は犬の命を維持する基本となる非常に大切なものです。必要な栄養がバランスよく入っていなければなりません。

代表的な商品の素材や内容はそのメーカーのスタンスを反映するものとして参考になると考えています。あらしん堂では総合栄養食を扱っていませんので、第三者の視点で、日本で普及しているメジャーなメーカーの代表的商品(ドライタイプ、いわゆるカリカリ)を比較していきます。

それぞれの商品について、成分表示(ホームページからそのままコピー&ペーストしたもの)、良い点、悪い点、総評の順で解説していきます。

ロイヤルカナン(ミディアム/アダルト/中型・成犬用)

●成分表 
肉類(鶏、七面鳥、ダック)、小麦粉、コーン、小麦、コーンフラワー、動物性油脂、加水分解タンパク(鶏、七面鳥、魚)、大麦、ビートパルプ、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、大豆油、酵母および酵母エキス、魚油(オメガ3系不飽和脂肪酸〔EPA+DHA〕源)、加水分解酵母(マンナンオリゴ糖源)、藻類油(EPA+DHA源)、アミノ酸類(DL-メチオニン)、ミネラル類(Cl、Ca、Na、K、P、Zn、Mn、Fe、Se、Cu、I)、ビタミン類(コリン、E、C、B12、B1、ビオチン、A、B6、B2、葉酸、パントテン酸カルシウム、D3、ナイアシン)、保存料(ソルビン酸カリウム)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス)

●良い点

1.消化が良い 
「超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)」の使用により消化吸収効率が高く、ビートパルプは繊維源として腸内環境を整える効果があります。

2.脂肪酸バランス
魚油と藻類油により、オメガ3系脂肪酸(EPA・DHA)が含まれています。これは皮膚や被毛の健康維持、抗炎症作用をサポートします。

3.ビタミン・ミネラルの強化
ビタミン類やミネラル類がバランス良く配合されており、健康維持に必要な微量栄養素が確保されています。

●悪い点

1.穀物の多用
分けて書いてあるため肉よりも量が少ないように一見すると見えますが、小麦粉、コーン、小麦、コーンフラワー、大麦などの穀物が多く含まれており、犬によっては消化しづらいことがあります。穀類は糖分が多く、肥満や血糖値の急上昇につながるリスクがあります。

2.動物性油脂の品質不明
「動物性油脂」という記載は具体的な供給源が明記されていないため、品質や出どころが不透明です。

3.保存料、合成成分の使用
ソルビン酸カリウムは天然成分ではありません。また、酵母エキスやアミノ酸類(DL-メチオニンなど)が含まれており、自然志向の飼い主にはやや懸念材料となるでしょう。

●総評
ロイヤルカナンはマーケティングが非常に優れているように見受けられます。犬種別フードは愛犬の犬種用があれば買いたくなる人は多いと思います。

まず、健康に生きるための栄養バランスはすべての犬に共通であり、犬の大きさ、形態、ウィークポイントによって変えているものです。例えば、ダックスは胴が長くて腰を痛めやすいので、あまり体重を増やさないようにカロリーが低い‥とか。

ダックスにも運動量の個体差はあるのにステレオタイプにそのアレンジで、全体栄養のバランスは大丈夫なのかな・・と思ったりします。犬種別のフードを買っているとしても、愛犬の様子を見ながら調節する必要はあります。

そういったマーケティングテクニックにまどわされずに、本質的な成分の多寡、安全性に着目して選びたいものです。

愛犬元気 成犬用 (メーカー:ユニ・チャーム)


●成分表 
【ビーフ・緑黄色野菜・小魚入り】
穀類(トウモロコシ、小麦粉、コーングルテンミール、フスマ、パン粉、コーングルテンフィード)、肉類(チキンミール、チキンエキス、ビーフパウダー)、豆類(脱脂大豆、大豆エキス)、動物性油脂、野菜類(ビートパルプ、ニンジンパウダー、カボチャパウダー、ホウレンソウパウダー)、魚介類(フィッシュエキス、小魚パウダー)、ビール酵母、ミネラル類(カルシウム、塩素、鉄、ヨウ素、カリウム、ナトリウム、リン、セレン、亜鉛)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、コリン、パントテン酸、葉酸)、着色料(赤色102号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ハーブエキス)、アミノ酸類(メチオニン)、ミルクカルシウム

●良い点

1.手頃な価格
1kgあたり400円程度と相当安いフードです。

2.嗜好性への配慮
匂いや味付けで食いつきを良くする工夫が施されており、食欲のない犬にも与えやすい製品が多いです。

●悪い点

1.穀物の多用
トウモロコシ、小麦、大麦などの穀物が主原料として使用されており、これらは消化が難しい場合やアレルギーの原因になる可能性があります。

2.動物性原材料の質
タンパク質成分として、肉そのものは使われていないようです。肉類として、チキンミール、チキンエキス、ビーフパウダーと、タンパク質の品質に疑問が残るところです。

3.添加物の使用
合成保存料や人工的な色味付け、酸化防止剤が使用されており、懸念材料となります。

●総評

愛犬元気は、総合栄養食として基本的な栄養素はカバーしてはおり、経済的な選択肢ではあります。ただし、コストを抑えるために仕方ないことかもしれませんが、穀物や添加物の多用、タンパク質の品質に対する配慮が課題となります。特にアレルギーや消化器系の弱い犬には注意が必要です。

ヒルズ・ダイエット(小型犬用 アダルト 1~6歳 成犬用)

●成分表
トリ肉(チキン、ターキー)、トウモロコシ、小麦、米、動物性油脂、トリ肉エキス、植物性油脂、亜麻仁、ポークエキス、トマト、柑橘類、ホウレンソウ、ミネラル類(カルシウム、ナトリウム、カリウム、クロライド、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、イオウ、ヨウ素)、乳酸、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)、アミノ酸類(タウリン)

●良い点

1.最適なタンパク質供給源
主原料に「トリ肉(チキン、ターキー)」を使用しており、犬に必要なたんぱく質の供給源として適しています。

2.嗜好性への配慮
動物性油脂やトリ肉エキスの配合により、嗜好性が高く、食いつきが良くなる工夫がされています。

3.消化しやすい穀物の配合
コメを含み、他の穀物(トウモロコシや小麦)より消化吸収がしやすい炭水化物源が含まれています。

4.植物由来の栄養強化
亜麻仁、トマト、柑橘類、ホウレンソウなど、ビタミンや抗酸化物質を含む植物原料を配合し、健康をサポートしています。また、タウリンを追加配合しており、心臓や筋肉の健康維持に配慮されています。

●悪い点

1.穀物の多用
トウモロコシ、小麦、コメが含まれており、穀物の割合が高い可能性があります。穀物アレルギーのある犬や消化が苦手な犬には不向きです。

2.動物性たんぱく質の品質記載が曖昧
使用している部位や加工の詳細が不明であり、タンパク質の品質が判断しにくい点があります。

3.脂肪源の不透明性
「動物性油脂」という記載が具体的でなく、品質や供給源が明記されていない点が不安材料です。

3.添加物の不安
合成添加物は控えめですが、乳酸(乳酸菌が糖などを食べた結果、生み出された酸性の物質)の使用は一部の飼い主に懸念される場合があります。

4.オメガ脂肪酸バランスの情報不足
亜麻仁はオメガ3脂肪酸源ですが、具体的な脂肪酸バランスが明記されておらず、皮膚や被毛の健康サポートの十分性が不明です。

●総評

ヒルズサイエンス・ダイエットは、動物性たんぱく質を中心に、犬の健康維持に必要な栄養素をバランス良く配合したフードです。植物由来の抗酸化物質や自然由来の酸化防止剤の使用は安心感があります。消化しやすいコメを使用している点も評価できます。

しかし、穀物の多用や原材料の一部が曖昧であること、脂肪源の品質が明確でない点が気になるところです。穀物アレルギーのある犬や、プレミアムドッグフードに求める高い品質を重視する飼い主には、他の選択肢を検討する価値があるかもしれません。一方で、特に特定の健康サポート(タウリン配合など)を求める飼い主にとっては、コストパフォーマンスの良い選択肢となり得ます。

最後に、店長が愛犬用に採用している総合栄養食を評価しておきます。この商品をお勧めしているわけではなく、あくまでも上記分析の結果、デメリットが少ないと考えて使っているもののご紹介です。

モグワンドッグフード

●成分表
チキン&サーモン56.5%(放し飼いチキン生肉 21%、生サーモン 12%、乾燥チキン 12%、乾燥サーモン 7.5%、チキングレイビー 2%、サーモンオイル 2%)、サツマイモ、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆、ビール酵母、アルファルファ、ココナッツオイル、バナナ、リンゴ、海藻、クランベリー、カボチャ、カモミール、マリーゴールド、セイヨウタンポポ、トマト、ショウガ、アスパラガス、パパイヤ、グルコサミン、メチルスルフォニルメタン( MSM)、コンドロイチン、ミネラル類(亜鉛、鉄、マンガン、ヨウ素)、ビタミン類(A、D3、E)、乳酸菌


●良い点

1.高品質な動物性タンパク質
原材料の56.5%が動物性たんぱく質で構成されており、特に「放し飼いチキン」と「生サーモン」を使用している点が特徴的です。新鮮な肉と魚が主原料で、筋肉の維持や健康促進に適しています。

2.タンパク質含有量が高い
乾燥肉(乾燥チキン、乾燥サーモン)を含むため、たんぱく質含有量が高いです。

3.グレインフリー設計
サツマイモ、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆を炭水化物源として採用し、トウモロコシや小麦などの穀物を使用していません。これにより、穀物アレルギーの犬や消化が弱い犬に適しています。

4.スーパーフードの配合
バナナ、リンゴ、クランベリー、カボチャ、海藻、トマトなど、抗酸化物質やビタミン、ミネラルが豊富なスーパーフードが多く含まれています。

5.健康な脂肪源
サーモンオイルとココナッツオイルが使用されており、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が皮膚や被毛の健康をサポートします。

6.健康維持のための様々な成分
・抗炎症作用
カモミール、マリーゴールド、セイヨウタンポポなどのハーブが含まれており、抗炎症作用や健康維持をサポートします。
・関節の健康
グルコサミン、コンドロイチン、メチルスルフォニルメタン(樹木から取れる硫黄成分)を配合し、関節や軟骨の健康を考慮しています。特に高齢犬や大型犬に適しています。
・消化と腸内環境
ビール酵母と乳酸菌が含まれており、腸内環境を整える効果が期待できます。

7.人工添加物不使用
人工着色料、香料、保存料が含まれておらず、ナチュラル志向の飼い主にとって安心感があります。

●悪い点

1.価格が高め
高品質な原材料を使用しているため、一般的なドッグフードと比較して価格が高く、コストパフォーマンスを重視する場合には不向きです。

2.高カロリー設計
動物性たんぱく質と脂肪の含有量が高めで、肥満傾向の犬や運動量が少ない犬には与える量を調整する必要があります。

3.タンパク質量の多さが不適な場合も
たんぱく質含有量が高いため、腎臓に負担がかかりやすいシニア犬や腎臓疾患を持つ犬には適さない場合があります。

●総評

チキン&サーモンとその関係素材の含有率が56%と半分以上であることが明記してあり、安心です。高品質な動物性たんぱく質と豊富なスーパーフード、グレインフリー設計が特徴的です。皮膚や被毛、関節の健康サポートを考慮した成分配合も魅力的です。

一方で、価格が高めであること、豆類の多用、カロリーの高さには注意が必要です。特にシニア犬や運動量の少ない犬には与える量を調整する必要がありそうです。

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この記事の著者

三好 美佐子

野犬だった「あられ」、保護施設にいた「しんのすけ」との生活7年め。甲斐犬、ジャックラッセルテリアの養育難度の高さに必死にしつけや犬の栄養を学ぶうちに、動物の真の健康と幸せを深く探求するように・・・。金融機関での勤務歴35年、「社会貢献と幸せな消費が結びつく意義」に賛同する同僚たちに支援される形であらしん堂をはじめました!

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